こんにちは、さやかです。
大学の時の卒業論文を元に 、
「愛する人を失うこと」
について整理しています。
具体的には、
・死別の心について
・母の死を振り返って(体験や気づき)
など。
今回は、
「母親の喪失が娘の心に与える影響」
についてまとめていきます 。
(※2007年の卒業論文からの引用です。当時学んでいた死別心理学の考え方としてご紹介します。)
母親の喪失と娘
死別の心⑤でも触れたように、
死の受容プロセスは、
環境や人間関係によって大きく異なります。
その中でも、
娘にとって母親は特別なもの。
娘の人生の鏡である母親を失うことは、
心に大きな影響を与える場合が多いです。
どのような影響があるのか、
様々な視点から整理していきます。
(ここで記載してることは、母と娘に限らず、親を失った子供全てに当てはまることも含まれます。)
娘の年齢
母親と娘の関係において
母親の死がもたらす影響は、
娘がどの時期に母親を喪失するか
にも大きく関係します。
例えば
10-20代以前における喪失と、
30-40代以降になってからの喪失は
全く異なります。
一般的に、
30-40代以降に比べると、
10-20代以前の方が、
母親の死から受ける影響力は大きいです。
それには、
2つの理由があります。
【1つ目】
受容までのプロセスに必要な能力が欠如しているから。
特に20歳位までの子どもに欠けている能力としては、
・死についての理解
・自分の感情を表現するための言語能力と勇気
・辛い悲しみは長くは続かないという認識
・誰か母の代わりを見つけるまで、失った母親から自分自身へと心のよりどころを移す力
などが挙げられます。
この中でも、「母親から自分自身へと心のよりどころを移す力」の欠如は、最も大きな影響となるようです。
【2つ目】
母親との距離が近いこと。
子どもが幼いほど、 母親から自立できていない、母親に依存している状態です。母親の存在が物理的にも精神的にも近くなるので、その存在を失った時、その心のよりどころをどこに向けたらいいのか分からず、受容プロセスに時間を要します。
特に、自立や過去の捨て方を学ぶ時期と言われる思春期以前、あるいはその最中における喪失の場合、精神成長面で母親の存在を必要としているため、喪失が心に与える影響は大きくなります。
一方、30代40代以降になると、
様々な角度から考えることができたり、
気持ちを表現したり、
現実を受け止める力が身についています。
また、
自分の生活を持つようになり、
一般的には母親から
物理的/精神的に自立できているため、
受容プロセスに与える影響が
比較的少ないと言われます。
娘が母親を必要とするとき
娘が母親を必要とする時とは、
生理の始まりや妊娠といったような
女性としての初めての経験をする時など。
母親のアドバイスが必要な人生の節目において、
母親の存在がいないことで、
心に与える影響が大きくなります。
母親を失った後の人とのつながり
親から精神的に自立する前の時期に
母親を失うということは、
大きな安心や支えの対象を
失うということでもあります。
それまで母親が担っていた役割が
突然なくなる不安から、
人はその安心感やつながりを、
母親以外の人間関係の中に求めていくことがあります。
その現れ方のひとつとして、
恋愛関係に強く支えや安心感を
求める場合もあります。
そうした傾向は、
大きく3つのタイプに分けられると
考えられています。
①安定タイプ
自分を含めた数種類の人間に愛情要求を分散させることができるタイプ。
母親を喪失した後に、安定した支えになる思いやり深い保護者がいる場合、子どもは愛に満ちた人間関係を築けるようになります。
頼りたい気持ちを複数の違う人々、友人・恋人を含めた様々な人間関係に振り分けることで安定し、より落ち着いた状態へ近づいていきます。
②不安・矛盾タイプ
恋人に愛情要求の大部分を求め、その1人から安心と愛情を得ようとするタイプ。
尽きない愛を欲しがり、相手が自分へ100%愛を注いでくれていないと、自分への愛に対して大きな不安を抱きます。
一方で、相手からの愛情を突き放すような態度を取ることもあります。
これは、ほしいと思えばせがみ、手に入らなければ地団駄を踏んで泣き叫ぶ、幼児期の子供の態度と似ていると言われます。
相手を母親役と捉えてしまい、相手に重荷になってしまったり、母親と同じ愛情を受け取れないことに
どこか満たされず、不安定な状態が続きます。
③敬遠タイプ
自分だけに頼り、他人から心の距離を置くタイプ。
頼らず、愛さなければ、喪失の辛さを味あわなくて済むと考え、誰かに愛されたいと願っているのに愛することを恐れてしまう。親しくなる事と喪失を直接結び付けてしまい 、親密な関係を築けなくなります。
そのため、恋愛からも逃げてしまうか、恋愛が長続きしそうな兆しが見えると、自ら関係を断ち切ることがあります。
以上のように、
人はそれぞれの形で、
喪失によって失われた安心感やつながりを
求めていくことがあります。
その現れ方は人それぞれであり、
時間の経過や受容のプロセスとともに
変化していくとも言われています。
娘が母親になる
早くに母を失った女性が母親になる時。
亡くした対象と同じ立場になるという意味で、
母親がいる女性が母親になる時とは、
異なった情緒体験をするとされます。
どのような差異や特徴があるのか、
整理していきます。
①出産前
母親を失った娘の多くは自分の子供に娘がほしいと願う傾向があります。
母親を早くに失った女性にとって、娘は自分の母親と結びつくための一番の近道だからです。
②妊娠中/出産
女性は妊娠中、自分の誕生や赤ちゃんの頃について母親から話を聞くことで、自分も母親になれるという自信をつけていくそうです。
そのため、安定と支えを強く求める妊娠中に母親がいない場合、孤独を感じる事が多くなる様です。
また、女性が子供を産むときには、母親(のような存在)がそばにいることが必要だと言われます。
妊娠中や出産までに、母親と少しでも近い存在を見つけることができるかどうかは、母を亡くした女性が母親になる際、とても重要な要素になります。
③子育て
子育てにおいても、様々な情緒体験を経験します。
【同一視】
母親になりたての女性は、自分と自分の子供を同一視すると同時に、自分と自分の母親とを同一視します。
母親のいない娘の場合、その相手がどちらか一方に偏ったり、過剰に同一視してしまう傾向があります。母親のいない女性が子供を自分と同一視しすぎると、子供に対して過剰に自己投影し、自分の足りないところを補おうと過保護になってしまいます。
逆に母親を自分と同一視しすぎると、若くして死ぬことを恐れ、子供に情が薄くなることがあります。
【不安と欲求】
母親を失った娘は、子供を母なし子にするかもしれないという不安を持ちます。
同時にそれは、自分が送れなかった母親のいる子供時代を、自分の子供には与えたいという強い欲求にもなります。
これは子供に悪影響を与えるものではありません。むしろ、失った母娘関係を味わうことで、限りある時間を大切に過ごす意識となり、良い影響を与えうるものです。
【育て方】
子育てにおいて、母を失った娘は、母を失った際に身に付けた生き抜く術を、いい面でも悪い面でも育て方に応用して子育てをしていきます。
どのような受容プロセスを得たか、死を通して何を学び、どう変化したか、自分が生きる死生観や生き方、そこからの学びを子どもに伝えます。
つまり、母を早くに失った経験は、その娘の子どもにも影響を与え、子供からその子供へというように世代を超えて影響していくものと言えそうです。
(以上、2007年に書いた卒論より引用)
まとめ
私自身、
10代の娘として母親を亡くし、
様々な情緒体験を経験しました。
安心できる居場所やつながりを探しながら、
残された家族・友人・恋人など、
人間関係においても、
様々な経験や段階を経験しました。
そして今、
結婚・出産を経て、
自分が母親という立場になったことで、
当時は見えなかった母の想いや、
母娘という関係の深さを、
改めて感じるようになりました。
母を失ったことは、
決して小さな出来事ではありません。
悲しかったし、苦しかったし、つらかった。
でも同時に、
その経験があったからこそ出会えた学びや、
見える景色もありました。
自分なりの答えにたどり着く日まで、
焦らず、ゆっくりと向き合ってみてください。
同じように大切な人を失った方へ、
少しでも参考になれば幸いです。
今日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

