愛する人を失うこと⑤ ~遺族の年齢と関係性~

こんにちは、さやかです。


大学の時の卒業論文を元に 、
「愛する人を失うこと」
について整理しています。


具体的には、
・死別の心について
・母の死を振り返って(体験や気づき)
など。


今回は、
愛する対象を亡くした際、

・遺族の年齢(人間関係の発達心理段階)
・故人との関係性

これらが、
死の受容プロセスにどのような影響を与えるか、
についてまとめていきます 。



(※2007年の卒業論文からの引用です。当時学んでいた死別心理学の考え方としてご紹介します。)


目次

人間関係のはじまり

新生児が眠ったり、
泣いたりする以外に示す、

体をねじるように動かしたり、
口をもぐもぐさせたり、
微笑したりといったような、
とりとめもない自発的行動。


これらには、
人との結びつきを可能にするための
基本的な行動パターンが備わっている、
と言われます。


つまり、
人は生まれながらにして
“他者と関わる”という性質を
持ち合わせているということです。


遺族の年齢と死別

人の周りとの関わり方は、
年齢を重ねるごとに変化していきます。


そのため、
誰かを喪失した際の年齢
=どのような発達心理段階にいたかは、

受容までのプロセスにおいて、
大きな影響を生みます。


その中でも、
“人間関係”における発達心理段階に注目しつつ、
各時期における死がもたらす影響について、
整理していきます。


①乳幼児期

乳幼児期には、人間への基本的信頼と愛情を育てていく基礎となる親との強い絆を形成することが重要になります。また、この時期に重要である母子関係では、母子の分離は不完全で、分離と融合、自立と依存が交互に繰り返されています。

乳幼児は、周りの世界との関係を自分一人ではやりくりすることが出来ないため、泣くといったような表情行動を通して周りとのコミュニケーションを図ります。

この時期の死別の対象として最も影響が大きいのはやはり母親です。

乳幼児は、自己と周りの世界との関係性が少なく、母親との絆が一番強いです。

また母親が外部との関係性を築く際のパイプとなることがほとんどであるため、そうした存在を失うことは、大きな不安を感じることになると共に、その後心に大きな傷を残してしまう可能性があります。

周りからの意識的なサポートなしには、人間関係でのスムーズな発達が困難になります。

②児童期

児童期になると、人間関係は親子関係を中心にした家族関係から仲間関係、あるいは家族以外の大人との関係に広がります。

仲間関係が強くなっていくと、同年代の子供同士で一緒に活動し始め、仲間と一緒にいたいという要求も強くなり、親から半分独立していきます。

そうした中で、この時期は、相互関係における自分の役割や連帯感等といった社会性を獲得していくことが重要になります。

この時期もやはり親との死別経験は、最も影響が大きいと言えます。

感情を表現したり、現実を受け入れる能力が不足しているために、悲しみを受容したり、乗り越える際に、分かりやすい段階を経ることが難しくなります。

状況を理解したり、自分の感情を整理するまでに時間を要します。ただ、親以外との関係性も出来てきているので、親以外との関係性に支えてもらうことが出来るといった一面も出てきます。

③思春期/青年期

この時期は、自分らしさを確立するために模索し、社会規範や知識を学習しながら大人への移行を開始する時期になります。

また、自我の目覚めから反抗期が始まる時期でもあります。

この時期(特に前半)は、ささいな刺激に対しても敏感になったり、喜怒哀楽が激しくなったりと、対人的感情がとても不安定になり、人間関係にも影響を与えます。

特に反抗期真っ只中の親子関係では、否定的感情ばかりが去来し、暖かい親子関係は一時的に姿を消すこともあります。ただし、大学に入る頃には、対人的感情の不安定さも緩和され、精神的にも自立をしていきます。

この時期は、親を含めた友人や異性の人間関係おいても、自己確立においても、大きな転換時期となります。

この時期の親近者との死別がもたらす心への影響は、また大きいものです。 もともと全ての事に対して極度に敏感になり、感情も不安定という状態。そして、自分を模索している最中であり、自分自身が良く分からない時期でもあるため、精神的な支えであった親近者の喪失は、大きな不安をもたらします。

中でも、反抗期などで故人との関係性が悪く、その関係が修復されないまま死別してしまったような場合、受容までのプロセスが特に複雑になる可能性があります。

④成人期

発達段階において最も長い時期です。

この時期は、社会人としてどう社会に関わるか、会社での様々な人間関係、プライベートでの友人関係、老親の介護など、
関わる人も多義に渡り、数も多くなります。

また、人間関係の大きな変化として、配偶者を見つけて結婚したり、子供という新しい家族が加わるといったような事も起こる時期です。

このような多義に渡る関係性において、様々なストレスに耐えつつも、トライ&エラーの中で良好な人間関係を築いていく能力を身につけていきます。また、自分の力で取捨選択をし、決断をして生きるようになるため、親との関係性は青年期までと比べ、遠くなることが多いです。

この時期の死別経験は、自分で自分のことを理解することや、自分の感情を整理することがそれまでの時期よりもできるようになっています。

精神的に自立できていること、 ある程度の経験を積んでいることもあり、自分なりの答えを見つける方法や能力を持てるようになっているためと言えます。

しかし、配偶者や子供との死別は、仕事や生活に追われてしまったりと、しっかりと受容までのプロセスを踏めず、悲しみに蓋をしてしまうことで受容までに時間がかかることもあります。

⑤老年期

経済的喪失や、社会的役割の喪失等で、喪失感を感じ、生きる意味を見失う可能性が高い時期です。

特に趣味や、友人が少ない人にとっては、成人期から老年期への移行は、とまどうことが多くなります。しかしこうした移行は、人間関係における新たな関係性を模索し、自身の更なる発達につながることもあります。

積極的に外との交流を持ち、新しい関係性を作っていくことが、新しい生きがいにつながっていくかもしれません。

この時期、死に対してすでに理解ができているというケースが多いため、死別経験において、受容までのプロセスに困難を伴わないことが多いとされます。

ただし、配偶者を亡くした場合は、共有してきた時間が長い分、また精神的に頼っていた部分が大きい分、受容までに時間を要します。また自身の年齢的なこともあり、残された側が、体調を崩してしまうことも起きやすくなります。


故人との関係性

残された遺族が、
故人とどのような関係性にあったのか。


そのことが、
死や悲しみを受容するプロセスに
与える影響について整理します。


一番近い関係である、
配偶者、子ども、親の3つの視点から。

①配偶者との死別

配偶者の死別の中でも、夫との死別は、最も頻度の高い死別になります。

80%の夫婦において、男性の方が先に亡くなるというデータがあります。

夫と死別した際、妻にとっては経済的な問題が大きくなることが多いようです。専業主婦の場合、悲しみの中、経済的自立をしていかなければならない。小さい子供がいる場合はなおさら、悲しみを癒す時間が取れず、受容までのプロセスが長引いてしまいます。

一方、妻を失った男性は、手足が切断された様な感覚に陥ります。

それまで自分を支え続けてきた存在の喪失により、どのように生活していったらいいのか、家事の仕方やお金のやりくり、子育てのことなど、全て1人で考えなくてはならなくなります。

孤立感や存在意義の喪失を経験し、妻の支えがあってこその自分を、再認識します。若い男性の場合は、アルコール摂取量が増えるといった傾向も見られるようです。

②子供との死別

子供の死は、耐えがたい喪失です。

ほとんどの親は、自分が身代わりになりたかったと思います。

ただ、受容までのプロセスは夫と妻で異なり、妻がいつまでも嘆き悲しんでいる一方、夫の方が早く立ち直るケースが多いようです。これは、子供に対する愛情の種類の違いと、死を受け入れる際の男性と女性の考え方の違いと言われています。

この際、両者の間で感情のずれが発生して、離婚につながってしまうこともあるようです。

③親との死別

親との死別については、特に母親との死別において、子供は強く傷つきます。

母親の死は、心理的な屋根をなくしたような気持ちになり、父親の死よりも受容しにくいと考えられています。

悲しみの程度は、親との絆の強さに比例しますが、ひどく嘆き悲しむ人がいても、それはもちろん異常ではありません。親が子よりも先に死ぬのは当たり前とはいっても、自分が生まれてからずっと見守ってくれてきた人を失うのは、とても不安で悲しいものです。



(以上、2007年に書いた卒論より引用)


まとめ

それぞれの死別の経験は、
決して比べることができるものではありません。


誰を失ったのか。
何歳で経験したのか。
どんな関係性だったのか。


その違いによって、
悲しみの感じ方も、
受容までの道のりも大きく変わります。


「こう感じるのも自然なことなんだ」
と受け止めるきっかけになれば嬉しいです。




同じように大切な人を失った方へ、
少しでも参考になれば幸いです。  

今日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。


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