こんにちは、さやかです。
今回は、
愛する対象を亡くした際、
残された人が置かれる環境が、
死の受容プロセスにどんな影響を与えるか
についてまとめてみます 。
(以下、2007年に書いた卒論より引用)
環境と受容のプロセス
同じ愛する人の死という経験でも、
その人によって体験していく感情や
受容までのプロセスは全く異なります。
死の要因・状況、
遺族の置かれる環境や状況、
文化の影響といった面から、
それぞれ見ていきたいと思います。
死の要因・状況
死の要因・状況を、
死までの時間、死因、死亡した場所、
の3つに分けて、
心への影響を考えていきます。
まずは、死までの時間。
急性であったのか、
闘病生活を経ての死であったのか等の違い。
これは、
遺族の受容プロセスに
大きな影響を与えます。
病気のようにゆっくりと死に至るのではなく、
事故などによって急に死別した場合、
遺族は故人が死に至るまでの
状況や過程を十分に納得できないため、
死を現実として受容するのがより困難となります。
一方、長い闘病期間は、
夫婦・家族関係を高め、
死の時を迎えるまでにある程度
心の準備ができるため、
その後の受容プロセスに
良い影響をもたらす場合が多い。
ただ、
介護等による看病側の疲労が極度に偏ると、
家族関係の崩壊や共倒れといったまた
別の問題に発展することもあります。
次に死因。
自然死に近ければ、近いほど
受容プロセスに与える影響は少ないです。
自殺、他殺、事故、戦闘行為、災害などによる死は、
遺族に怒りと罪責感をもたらすため、
受容プロセスが複雑化してしまいます。
最後は、死亡した場所。
自宅や病院といった屋内の死でなく
屋外で死亡した場合、
その死は人にとって異常死とみなされるため、
こちらも受容プロセスが
スムーズにいきにくくなってしまいます。
遺族の置かれる環境や状況
遺族が置かれる環境や状況を
7つの視点から見ていきたいと思います。
①自我能力
健全な独立心を持っていない遺族は、
自らの将来に大きな不安を抱きやすいです。
自我がしっかり完成していない程、
不安は大きくなり、
悲しみを乗り越えるまでの時間も
長くなります。
悲嘆を乗り越えられると信じる能力も、
遺族に必要になります。
死別の時点でそれがない場合は、
悲しみを受容するプロセスの中で、
身に着けていくことになります。
②遺族の性別
一般的に、
男性よりも女性の方が、
悲しみを長く引きずってしまい、
死別後の心理状態の経過が
思わしくないように見られます。
しかし、男性の場合、
悲しみを表現すべきではないという傾向から、
感情を抑制してしまっている男性も多く、
悲しみをうまく表現できずに
心の傷を深くしてしまう男性が多いのも事実です。
また、
残された家族の男性、女性の比率も、
お互いの受容プロセスにおいて
影響を与えるとされています。
③健康状態
身体的・精神的に健康でない遺族、
又は不健康な人がいる遺族においては、
喪失を乗り越えるのが困難になります。
また、死別が原因で、
病気が悪化したり、
精神病が再発したりする場合もあります。
④経済状況
一家の大黒柱の死は、
家庭内の経済状況の悪化をもたらし、
経済的な生活困難は、精神的圧迫ともなり、
受容のプロセスにおいて悪影響となります。
また、
まだ心の傷が癒えていない遺族が
過度な労働をせざる得なくなることにより、
健康の悪化をもたらすこともあります。
⑤子供の有無
配偶者をなくした場合、
親にとって子供の存在は
生きがいないし慰めとなり、
孤独をやわらげるのに有効とされます。
しかし、遺族が若く子供も幼いと、
子育ての負担がのしかかり、
思わしくない経過をたどる可能性も
否定できません。
⑥友人の有無
死別の経験をした際、
心を開ける友人の存在は大きいです。
自分の心のうちや、
正直な感情、悩みを表現できる存在が
いるかいないかは、
受容プロセスに大きく影響を与えます。
死別経験のある友人であれば、
悲しみを共有することも出来ます。
⑦生きがい
仕事にせよ、趣味にせよ、
打ち込める何かがあることは、
悲しみを和らげるのに役立ちます。
ただし、
悲しみから目をそらすことが
目的にならない様に注意したい。
悲しみと向き合うことは、
悲しみを受容するプロセスで必ず通る道
ということを忘れないようにしたい。
文化の影響
受容までのプロセスは、
どのような文化集団においても
同じように適用されるわけではありません。
各プロセス期間や反応の変化は、
文化に特有であり、
悲しみの行動表現は文化によって違います。
悲しみの表現行動は、
文化のしきたりや習慣によって
因習的に行われていきます。
そして、因習に従うということが
遺族の情緒を和らげる助けともなります。
日本文化の特徴としては、
個が集団に埋没し、
個以上に集団の普遍性が重要視される
ということが挙げられます。
そのため、
悲しみや故人への愛着を
むやみやたらに表に表現せず、
ひとりで悲しみに耐える傾向があります。
集団の中で悲しみを表現して
お互いを慰めあう方法の代わりに、
仏壇に話しかける、
お線香やお供え物をあげる、
お墓参りをする等といった
風習があると言えます。
時代の流れと共に
文化も少なからず変化していきますが、
それぞれの昔からの文化が持つ影響も
受容プロセスに影響する様です。
(以上、2007年に書いた卒論より引用)
まとめ
死を受容するまでのプロセスに、
一つとして同じものはありません。
今回は、
様々な視点から自分の置かれた環境を
客観的に見ることで、
少しでも悲しみの整理が進めばと願い、
情報をまとめました。
参考になれば幸いです。
今日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。
悲しい想いをされている方へ、
少しでも生きる光になりますように。